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「見る力」の問題の諸症状

前回は話が長くなりました。
さっそく「見る力」の問題の諸症状について書きたいと思います。

さて、はじめる前に前々回書いたにビジョン(Vision)、すなわち「見る」ことは視力だけではあらわすことをできないことを思い出していただきたい。
要約すると「動力」(Motor)と「感覚・解釈」(Perception)がそろって初めて「見る」ことができるのであり「視力」は眼の解像度を表す数値であり、それだけで「見る力」の良し悪しは決まらないということです。

「見る力」の発達障害、といってもそのうちのどの能力に問題があるかによっていろいろな種類があるのでそれらの事についても話していきたいと思います。

眼球運動能力-"Ocular Motility"

前々回の記事でも書いたようになにかを詳しく見るときは中心視野を使わなければいけないため眼球を詳しく見たい対象にむける必要があります。
なにかを「読む」ときはこのプロセスの連続です。
各文字や単語に眼球をすばやく、正確に動かし、そのうえ、行の終わりに着いたら次の行の初めに眼を動かす必要があるのでこの能力が低いと読むスピード、文章の内容を正確に把握できなくなります。
何かを読んでいて行を飛ばしたり今読んだ行に戻ってしまうことをよく経験する方もいらっしゃると思いますが、この系統の問題がある可能性があります。

このタイプの問題では子供の文章の内容について混乱したり、机に座って読む行為が負担になるのでなにかを読むことを避けたり疲れやすくなったりします。

具体的には以下のような症状が現れます
  • 行を目ではなく頭を動かして読む
  • どこを読んでいたのかわからなくなったり指などを使って行を追う
  • 読み書きをしているときの集中力が無い
  • 単語や文字をぬかす
  • 行を斜めに書いてしまう
  • 行を飛ばす、重複する
  • 絵を描くとき斜めになったり正しい・任意の位置にからずれる

両眼視-"Binocularity"

人の両眼は対極する筋肉と神経が各眼でセットになっているため、両眼とも基本的に同じ方向に動きます。カメレオンのように片目ずつ独立して動かすことはできません。
よって人間の眼は基本的に両眼視できるような構造になっているのですがその構造があるからといって自動的に高度な両眼視能力が身につくわけではありません。通常、幼稚園児まではいろいろな視覚や体の動きを通じて身に着けます。

両眼視する能力がちゃんと出来上がってないと距離感とか空間把握能力が弱くなります。そのため、不器用、スポーツが苦手、よく転ぶ・ぶつかるなどの症状が現れます。
そのうえ、近くのものや遠くと近くのものにピントを移すとき物がダブって見えたり、そのような状況を作らないため読書などを避けたりもするようになります。
結果として、近くで細かいものや文字を見るのが苦手になり、成績や仕事に悪影響を与えます。子供によっては弱点である「見る」事を補うために「聴く」事のほうが上達したりします。

両眼視能力に関しては以下のような症状に注意してください
  • 単語の中の文字を重複してしまう
  • 文字、単語、もしくはフレーズを抜かす
  • 表に記入しているとき縦列がずれる
  • 目を細める、片目を閉じる、もしくは手で覆う
  • 机で頭を傾けたり横にまわす
  • 机での姿勢が悪い
眼と手の協応性-"Eye-hand coordination"

この能力は眼と手の動きと感覚を統制して情報を得る力を指しています。
視覚的に物の大きさ、形、肌合いや場所などの情報は手の動きと感触と視覚的情報と眼の動きを照らし合わせて初めて身につく能力なのです。違う言い方をすれば、眼と手の情報がお互いをCallibrate(調整)しあうということです。そのため、この能力が身につけば物を触らずともその物の本質が大体わかるようになります。たとえば大人の人が石を見るとその石の大体の重さ、感触などが触らずともわかります。それは過去に石などを見て触った経験に裏打ちされます。

この能力は絵を描く、字を書くなどの動作に必要不可欠な能力で、スポーツなどにも欠かせないことです。もちろん、日常生活にも関係してきます。
もしこの手の感触と視覚情報がしっかりとつながっていないと上記のように物の本質を見るだけでわからないので、手の感触にばかり頼ったり、うまく眼と手がかみ合ってないので不器用になったりします。
たとえば塗り絵をしているとき線をはみ出したり絵を描いたり文字を書いたりするとき間取りがばらばらになったりします。

まとめると眼と手の協応性の問題では以下のような症状が見られます
  • 物を見るだけではその性質がわからず直接触らなければならない
  • 目で手の動きを誘導できていない
  • 間取りが苦手、字が汚い、線に沿って書けないなど
  • 縦もしくは横の列がずれる
  • 手で文字や数のずれと間取りを確認する
  • 左と右をよく間違える
視覚的形状知覚能力-"Visual Form Perception"

これは見ているものやシンボルを視覚的に比較する能力、見たものを「図形」や「写真」として記憶する能力、空想したり事々をシミュレーションする能力が含まれます。
「形状」と訳しましたが形だけではなく、実際はその物体の「外観」とその物体が自分の今いる空間の中でどんな位置づけにあるかを解釈する能力です。

現実世界の多くの場面では視覚的情報は一刻一刻変わったり一瞬しか見る機会が無いので見たものを「図形」として記憶に刻むことでその一瞬で得た情報を分析することができます。上記の三つの能力が元となって認識能力が発達します。
形状認識能力によってを使って物のサイズ、形、肌合い、場所、距離などを解析して意味を与えたり言葉によって表現できるようになります。これらの情報は感触など他の感覚でも収集可能ですが、視覚的に得るのが一番早く確実な方法であり、情報収集に必要不可欠な能力です。人間の脳は外からの情報の70%以上を眼から得ているのは人間の生活の中で、視覚情報が一番効率的で重要であるがためです。

この能力によってすばやく外観的違いをつかみ、比較し、それを元に的確な行動を取ることができます。
たとえば英語圏ならではの問題なのですが「b」と「d」は縦線の右か左かに丸があるかの違いなので左右の概念がしっかりしていない子供はよく混同します。しかし「bog」と「dog」は当然ながら、まったく違う言葉です。単語の綴り自体を前後逆に書くケースもあります(たとえば「dog」と「god」)。
その他には「図形・文字の違いがわからない」、「記憶力が無い」、「思うように絵が描けない(自分のイメージどおりに描けない)」などの症状がでます。

これは個人的な考えなのですが「知覚・認識(Perception)」とは物の違いと本質を見抜く能力であり「知力」と強い関係にあると思います。

まとめる「見る」という行為は人にとってもっとも優れた情報収集能力であり勉学と仕事、さらには一般生活に欠かせない能力です。脳に直接入っていく神経の70%は眼からなので人が「見る」ことに特化していてとても重要な機能だということになります。
「見る」というプロセスはとても複雑で他の感覚との連携も重要なので一見眼に関係ないような症状も出ます。
よってもし、上記のような症状がお子様や自分に起こっているのであればまず検眼されること、そして特に問題がなくても定期的に検眼をお勧めします。
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「見るプロセス」の問題の症例

更新が遅くなってすみません。
一番最初の記事で言っていた試験があったので…
合格できたのでこれからはちゃんと更新していきたいと思います。

さて、いきなりですが話しをします。

これはOptometric Extension Programのパンフレットの内容を要約したもので、アメリカの第37大統領リンドン・ジョンソンの末娘、ルーシーの話です。時代は1960年代です。

ジョンソン家は大統領が出るほど優秀な一家だったので当然、子供たちも全員優秀のはずだったのですがルーシーだけはなぜか成績が伸びませんでした。
彼女は聡明で、知能テストの結果、非常に頭がいいはずなのにどうしてもミスばかりしてしまうのです。
その結果、彼女はどんなに努力しても成績は「C」(日本の成績から言うと「2」あたりです)を上回ることができませんでした。運動も苦手であり体育の時間は惨めな思いばかりしていました。

いろいろな検査をしても何も出てこないので十六歳のときようやく藁にもすがる思いで検眼医のクラスキン医師の検診を受けることになりました。
視力は1.0だったので目に問題があるとは当初思っていなかったのですが、検査の結果、「近くを見る事が非常に大きな負担になっておりその結果、好ましくない眼の使い方を覚えてしまった」という結論に達しました。

それで近くを見るときの負担を軽減するために眼鏡を処方してもらい、より効率的な眼の使い方を覚えるためビジョン・トレーニングを開始しました。
彼女は最初は一見無意味なトレーニングばかりさせられることに対してかなり反抗的な態度をとっていましたがしっかりとトレーニングをこなしていきました。

その矢先、1963年に前大統領のケネディーが暗殺され、副大統領の父が大統領に昇進し、非常にストレスがかかる時期なので彼女の成績はさらに低下することが懸念されていました。
ところがどうでしょう、成績がどんどん良くなり、大学ではトップの成績を取るまでに上達しました。
それだけではなくスポーツまで上達していきました。

彼女は自分の人生をここまで変えたビジョン・トレーニングに興味を持ち、クラスキン医師の助士を務めVolunteers for Visionの名誉議長などを勤め積極的に活動を行っていきました。


すべての「問題児」がビジョン・トレーニングを通じていきなり成績優秀になるというわけではありませんが、彼女のように知力が高いのに「見る力」がうまく発達していないばかりに成績が伸びないというケースは存在します。
彼女はかなり重症なケースですが軽症のケースもあり、「見る力」以外の問題もある隠し持っている可能性もあるのでやはりお子様を定期的に検眼することをオススメします。



それでは長くなりましたので次の記事で本格的に「見るプロセス」の問題の諸症状について話したいと思います。

「脳で見る」ってどういう意味?

このブログのタイトルを見て「?」と思われている方も多いと思います。
一般認識では目の良し悪しは「眼球」の状態によるものと思われています。

しかしここで改めて問いたいのはビジョン(Vision)、つまり「見る」とはどういう行為なのかと。
真っ先に思い浮かぶのは視力です。「ランドルトC」などを使って測る数値で、簡単に言えば目の解像度を測るテストです。
1.0は1’(1 minute of arc)、つまり1/60度の解像度があることでたとえば「ランドルトC」の円の開いている部分が1’の角度を取っていればその開いている部分が分かるということになります。6mの距離ではその開いている部分の幅はおよそ1.75mmです。

それだけです。
視力というのはそれ以上でもそれ以下でもありません。

実際に我々の「見る」という行為を見てみると単純な視力だけでは語れないことがたくさんあります。
日常生活でもコンピューターの画面や本にピントを調節したり、ボールを目で追ったり、横から走ってくる車を周辺視野で探知したりします。これらに必要な能力は視力だけでは一切分かりません。
つまり「視力」は「一番いい状況で中心視野にどれくらい解像度があるのか」しかわかりませんので、実際どのように見えているのか、他に問題があるのかなど皆目検討がつきません。

では、「見る」とはどういうことなのか?
結論から先に言うと「見る」とは「動力」(Motor)と「感覚・解釈」(Perception)でありこれはを司り、制御するのは脳であり、眼球とはこのシステムの主要なパーツに過ぎない。「動力」と「解釈」なしでは我々はたとえ眼が見えても「意味」を与えたり得たりすることはできません。

「図形、もしくは写真を見る」という行為からこのプロセスを見てみましょう。

まず、「動力」についてですが我々の眼球は常に動いています。なぜ動くかというと視野に入っている全てのものがはっきりと見えないからです。はっきり見えるものは中心視野に入っているものだけで、周辺視野はそこに何かあるのが分かりますが細かくは見えません。つまり周辺視野で周りにあるものを認識してその見たいものを目を動かして中心視野に持ってくることで初めて細部が見えます。
目の動き

"Eye Movements and Vision" by A. L. Yarbus; Plenum Press, New York; 1967.より。

左の図は古代エジプトのネフェルティティ王女の像の写真。右はその像を見るとき計測された目の動きをプロットしたもの。
このように我々は見ている物体の細部のディテールを得るために目でスキャンします。
しかしそれだけでは全貌は見えません。
そのためには「自分は今どこを見ているのか?」、「を見ているのか?」を知る必要があります。それが「感覚・解釈」のプロセスです。
Noton & Stark's feature ring

Kandel, ER & Schwartz, JH et al. "Principles of Neural Science" 3rd ed. Elsevier Science Publishing, 1991 より

「A」というアルファベットを見る人の目の動きと思考プロセスを図に表すとこうなります。
一番最初に「A」の頂点を見た場合一番最初の図が見えます。目を右下に動かしたら「A」の右の足が見えます。このように連続して目を動かして細部を拾っていって全貌が見えるようになります。
ここで大事なのは今見えている部分を把握と記憶をし(何を見ているか=What)、その部分が図形のどの部分に当てはまるか(どこを見ているか・どこにあるのか=Where)を正確にできなければ図形を間違った解釈をしてしまいます。
ジグソーパズルにたとえると目を動かすたびに拾う情報はジグソーパズルのパーツで、それをどこにおけばいいのかを考えて完成品を組み上げるようなものです。

ここで注意してほしいのはこれは分かりやすく解説するために簡単な図形な「A」を使っただけでアルファベットをちゃんと知っている人は「A」自体を一つの「形」として認識するためこのようにちょっとずつ見ることはありません。「A」を始めて見る人はもちろんこのように見ているのでしょう。

一見単純に見える「見る」という行為でもこれだけのプロセスが必要なのです。
眼は常に動いており、その「動き」を制御し、拾った情報を統合して「解釈」する。それをするのはであり眼は極めて高性能な「光センサー」でしかない。よって人は目で見るのではなく「脳」で見ると言うほうが適切なのである。
人はみんな運動や学問でこの複雑な「見る」プロセスを学んでいくのです。もちろん落ちこぼれや不器用な人やこれを苦手とする人もでてきます。
そのような人達を手助けするのが行動視科学の知識を持ったオプトメトリストとビジョン・トレーナーなのです。

実際のところ上記解説でも完全とはいえません。たとえば「今見ている物体の自分から距離・方向」や「物体と自分の相対的ベクトルと速度」さらには「重力はどっちに働いているのか?」なども絡んできます。
「重力なんて関係あるの?」と思うかもしれませんが重力を無視すると上下の認識があやふやになるので自分が見ているものが果たして「A」なのかそれとも「∀」なのか分からなくなりますし、「今自分がどこにいるか=where」の根本的部分となるので必要不可欠な要素なのです。

次回は「見るプロセス」の発達障害の諸症状やビジョン・トレーニングなどについて話したいと思います。

検眼医とは?その1

日本人は十七歳までには6割以上は近眼になるといわれています。それだけ日本人にとっては近視などの目のトラブルは身近なもので目に関するプロフェッショナルと関わることが多いと思います。
日本では眼科医に検眼をしてもらい眼鏡技師に眼鏡を作ってもらいます。

「じゃあ、オーストラリアでも眼鏡やコンタクトが必要になったら眼科医に行けばいいの?」
と日本人の方が言いそうですが日本とは制度が違うのでそうはいきません。
オーストラリアや他の英語圏の眼科医(Ophthalmologist)は主に眼病を治療するのが仕事なので一般的な検眼は検眼医(optometrist)の仕事になります。眼科医は他の専門医と同じく、家庭医か検眼医の紹介が必要になります。
確かに、眼科医も眼鏡の処方箋を書けない事もありませんがコンタクトや眼鏡の処方は検眼医の専門分野となっており、眼鏡などが必要な患者を眼科医が検眼医に紹介するのはよくあることです。

さらに検眼医は眼の健康診断や眼病の早期発見、最近では制度が変わって眼病治療のライセンスをとれば結膜炎などの初歩的な眼病の治療もできるようになりました。
眼科医は訓練するのに膨大な時間と費用がかかるので慢性的な人手不足となっており、高齢化が進む中、問題の悪化が懸念されています。眼科医を補助する役割で検眼医にも薬を処方できるようしたのが最近起こった制度の見直しで、すでにアメリカでは30年前から行われていることです。日常的に眼病に接する機会があり、経験も知識もある検眼医に眼病を治療する力を与えるのはとても理にかなっていることだと思います。
私も今そのライセンス取得のため一生懸命勉強しているところです。

つまり眼科医は眼病の治療、検眼医は一般的検眼などを受け持つ形になり、この二つの職業がチームとして働くのが好ましいとされています。
検眼医も眼病を治療できるようになりましたが使える薬が限られていて、手術などはもちろんできないので検眼医が治療できない場合は眼科での治療が必要になります。眼科医もコンタクトや眼鏡の処方を求める方法の経験が不足しており、検眼医が必要になってきます。

このほかにビジョン・トレーニングなどを行っている検眼医もいます。人間の「見る」という一見単純な作業には眼球の動き、他の感覚と視覚情報の統合、視覚情報から「意味」を抽出するためさまざまなプロセスが起こっており、「眼球」だけでは「見る」ことは語れません。これらの問題はビジョン・トレーニングで矯正できますが、話が長くなるのでこのことに関しては後日、もっと詳しく書きたいと思います。

オーストラリアや英語圏で眼に関するトラブルがあったら、まず検眼医(optometrist)に行ってください。
大半のトラブルは彼らが対応できますし眼科による診断が必要ならば迅速に対応できます。

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